16-4. 実験の種類と拡散防止措置
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1) 実験の種類
20 L以上の培養を、専用の培養設備を使って行う操作
通常の研究室にはあまり関係ない
動物がかかわる実験で2つある
動物にLMOを接種する実験
異種DNAを入れた植物個体(キノコを含む)を作製、増殖させる実験 カルス培養だけなら法の適用範囲外だが、植物体に分化させる操作を行った時点で遺伝子組換え実験になる 2) 拡散防止措置
LMOの封じ込めは実験器具、装置、実験施設を使って物理的(Physical)に行うが、封じ込めが強くなる順にP1~P3レベル(微生物使用実験に関して)がある 通常の実験室だが、窓と扉で外と隔離され、流しがある
https://gyazo.com/590d6a81feca0b64a976e67ed3acb24f
P1に加え、エアロゾル発生の恐れのある作用は安全キャビネット内で行う 建物内にオートクレーブを設置し、実験室の入り口には「P2レベル実験中」の表示をする https://gyazo.com/08a01de1e5b91276eb77036428d848b6
P1, P2レベルに加え、戸が同時に開かない前室をもち、部屋全体をガス等で殺菌できる密閉構造をもつ
内部を陰圧にするために吸気し、高性能安全キャビネットを通して室外に持ち出す
LMO使用後の安全キャビネットは不活化措置を執る
実験室の入り口に「P3レベル実験中」の表示をする
memo: 動植物実験室の拡散防止措置
入り口には使用中の表示が義務付けられている
遺伝子組換え動物や植物は、それぞれ逃亡や花粉飛散がないよう、生物に合った設備(e.g. マウスの場合はネズミ返し)を設けなくてはならない https://gyazo.com/11f73b4ebc64e2c75c80350ce911542a
column 細胞移植実験は遺伝子組換え実験?!
まず培養細胞は、細菌DNAをもっているとしても法的には生物ではない
扱いは通常の実験でよい
ところがその細胞をマウスに移植する場合、異種細胞はヌードマウス体内で拒絶反応によって排除されることなく生着し、増殖する可能性が高い
となるとこのマウスは「組換え操作で作製した外来DNAが複製している生物」という定義に当てはまる
→遺伝子組換え実験として扱われる可能性が高い
ただ移植実験で使用する動物が通常のマウスだと細胞は生着しないため、遺伝子組換え実験でない可能性がある
siRNAや外来/組換えDNAをマウスやセンチュウに投与しても、それらの核酸はいずれ消滅し、生体内で安定に保持されたり増殖したりはしない(と予想される)ので、遺伝子組換え実験にはならない Column ゲノム編集生物は遺伝子組換え生物か?
ゲノムの改変を目的として、外来核酸(RNA)とタンパク質を使って行うゲノム編集で生物を作製する実験のうち、DNAの一部を欠失させる措置は、結果的に外来核酸の痕跡がゲノムに残らない ねらったDNA部位を人為的に変化させる実験だが、このような実験でつくられる生物は法的には遺伝子組換え実験に該当しないと判断される
このようにゲノム編集で遺伝子を変化させて作製した生物のあるものはカルタヘナ法の規則を受けず自由に実験を行うことができるため、ゲノム編集で改変生物をつくる実験に対して何らかのチェックが必要ではないのかという意見が出ている 外来DNAが組込まれた生物をつくるゲノム編集実験は明確に遺伝子組換え実験であるが、1~2個の塩基が偶然に挿入されてしまう場合などは結果を事前に予測することは困難で、できた細胞のゲノムを分析して判断せざるを得なくなる